2020/10/20、COVID-19における抗凝固療法と出血、死亡、病理の関係について調べた研究「Anticoagulation, Bleeding, Mortality, and Pathology in Hospitalized Patients With COVID-19」の要旨をまとめました。

2020/10/20、COVID-19における抗凝固療法と出血、死亡、病理の関係について調べた研究「Anticoagulation, Bleeding, Mortality, and Pathology in Hospitalized Patients With COVID-19」の要旨をまとめました。COVID-19(coronavirus disease-2019)において血栓塞栓性(thromboembolic)疾患の頻度は多いです。入院中の抗凝固療法と転帰、病理所見との関係のエビデンスは十分ではありませんでした。抗凝固療法と入院中の転帰、病理解剖による血栓塞栓性の所見との関係を調べるために、抗凝固療法、死亡率、挿管、大出血との関係を後ろ向に解析しました。入院後48時間の治療と予防的な抗凝固療法のサブ解析も実施しました。血栓塞栓性疾患は病理解剖によって確定しました。結果、4389例、中央値年齢65歳、女性44%、抗凝固療法なし群1530例(34.9%)と比べて、治療的抗凝固療法群900例(20.5%)、予防的抗凝固療法群1959例(44.6%)は、院内死亡率(adjusted hazard ratio [aHR]: 0.53; 95% confidence interval [CI]: 0.45 to 0.62 and aHR: 0.50; 95% CI: 0.45 to 0.57, respectively)、挿管(aHR: 0.69; 95% CI: 0.51 to 0.94 and aHR: 0.72; 95% CI: 0.58 to 0.89, respectively)の減少を認めました。入院後48時間以内の場合、治療的抗凝固療法766例、予防的抗凝固療法1860例の間に有意差(aHR: 0.86; 95% CI: 0.73 to 1.02; p = 0.08)を認めませんでした。臨床家評価の大出血89例(2%)発生、治療的抗凝固療法900例中27例(3.0%)、予防的抗凝固療法1959例中33例(1.7%)、抗凝固療法なし1530例中29例(1.9%)でした。病理解剖26例、臨床的には疑いのない血栓塞栓性疾患11例(42%)、治療的抗凝固療法11例中3例(27%)でした。抗凝固療法はCOVID-19入院中の死亡率、挿管の減少と関連を認めました。予防的抗凝固療法と比べて、治療的抗凝固療法は死亡率の低下と関連していましたが、統計学的な有意差は認めませんでした。病理解剖によって血栓塞栓性疾患の頻度が高いことが明らかになりました。今後、至適抗凝固療法のレジメンを決定するために本データは役立つだろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32860872
COVID-19と血栓症、抗凝固療法に関してニューヨークからの報告です。予防的抗凝固療法によって死亡率50%減少、挿管28%減少していたとの論文です。日経メディカルでも記事になっていました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202011/567751.html


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