2020/11/25、COVID-19流行期間と経皮的冠動脈形成術の適応について調べた日本の研究「Implementation of Percutaneous Coronary Intervention During the COVID-19 Pandemic in Japan – Nationwide Survey Report of the Japanese Association of Cardiovascular Intervention and Therapeutics for Cardiovascular Disease」の要旨をまとめました。

2020/11/25、COVID-19流行期間と経皮的冠動脈形成術の適応について調べた日本の研究「Implementation of Percutaneous Coronary Intervention During the COVID-19 Pandemic in Japan – Nationwide Survey Report of the Japanese Association of Cardiovascular Intervention and Therapeutics for Cardiovascular Disease」の要旨をまとめました。COVID-19の急速な感染拡大において、経皮的冠動脈形成術は今までと異なる慣れない環境下で実施しています。日本、COVID-19流行期間において、冠動脈疾患の治療について評価しました。日本心血管インターベンション治療学会は、流行期間中、2020年4月中旬、4月下旬、5月中旬に、経皮的冠動脈形成術の実施について調査を行いました。ST上昇型心筋梗塞、急性冠症候群ハイリスク例に対する待機的経皮的冠動脈形成術または緊急経皮的冠動脈形成術の治療戦略について調査しました。流行開始期においてはほとんどの施設では通常通りに一次経皮的冠動脈形成術を実施していました。流行拡大期においては、慢性冠症候群、ハイリスク急性冠症候群に対する経皮的冠動脈形成術の実施は減少を認める施設もありましたが、ST上昇型心筋梗塞においてはそうではありませんでした。5月中旬、ほとんどの都道府県にて、緊急事態宣言(state of emergency)が解除されると、経皮的冠動脈形成術の実施率は通常通りに戻りました。急性冠症候群においては、ポリメラーゼ連鎖反応、胸部CT等のスクリーニング検査が頻繁に使用されました。日本においてCOVID-19流行は経皮的冠動脈形成術に大きな影響を与えました。しかしながら、流行の危機状態においても、ほとんどの施設はST上昇型心筋梗塞に対する一次経皮的冠動脈形成術は通常通り継続していました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32963133
アメリカ、イタリア等で経皮的冠動脈形成術の件数が大きく減少しており、一方で院外心停止の件数が増加しているという論文を読んで、日本でも同様のことが起きてしまうことがないか懸念していました。現時点ではそこまで悲惨な状態にはなっていないという報告です。以前のまとめをご覧ください。
https://ochanomizunaika.com/18871
一方で、狭心症を疑う自覚症状が出現してからかなり経ってから受診、高度狭窄の状態が見付かる例は明らかに増え、文字通り間一髪のところでギリギリ治療が間に合ったという例を何例も経験しました。お茶の水循環器内科としては、飯田橋の心臓画像クリニックさん、六本木の心臓血管研究所さんらと連携を取りながら、循環器診療に特化することで感染リスクを最小化、新型コロナウイルスがあってもなくても変わらず循環器診療を続けて行くことが大切であると考えています。


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