2021/1/22、世界の心疾患の診断に対してCOVID-19が与える影響について調べた研究「International Impact of COVID-19 on the Diagnosis of Heart Disease」の要旨をまとめました。


2021/1/22、世界の心疾患の診断に対してCOVID-19が与える影響について調べた研究「International Impact of COVID-19 on the Diagnosis of Heart Disease」の要旨をまとめました。COVID-19流行は非感染性疾患の診断、治療においても有害な影響を及ぼしています。全世界で依然として主要な死亡原因となっている心血管疾患の診断的治療に与える影響は十分に定量化されていませんでした。全世界の心血管診断手技の件数、安全な実施にCOVID-19が与える影響を評価するために、国際原子力機関はCOVID-19の結果、心血管手技件数、安全な実施の変化について世界規模の調査を実施しました。2020年3月から4月、2019年の同期間と比較、非侵襲的、侵襲的検査の件数を参加施設から収集しました。個人防護具の入手可能性、流行関連検査適応の変化について確認しました。結果、108カ国、心臓診断を実施している909施設から調査を収集しました。手技件数は2019年3月から2020年3月で42%減少、2019年3月から2020年4月で64%減少を認めました。経胸壁心エコー59%減少、経食道心エコー76%減少、負荷試験78%減少しました。冠動脈造影(侵襲的またはCT)55%減少、有意差(p < 0.001 for each procedure)を認めました。多変量回帰の結果、国内総生産が低い国の施設において手技件数の顕著な減少を有意に認めました。低所得、低い中所得国の地域では、さらに心臓手技22%減少、個人防護具、テレヘルスの低い入手可能性を認めました。COVID-19は全世界で心臓診断検査の有意な減少と関連しており、特に経済的に課題を抱える地域において影響を及ぼしていました。心血管転帰、医療体制におけるCOVID-19関連変化についてさらなる研究が必要です。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2020.10.054
世界規模で見た場合、COVID-19流行の影響で、心臓関連の検査が50%から80%近く減少していたとの報告です。冠動脈造影、冠動脈CTは55%減少とのことで、冠動脈疾患の発見と治療介入の機会が失われていることが懸念されます。感染症の懸念から必要以上に医療機関に行きたくないという気持ちは理解可能です。医療機関側がやるべきこととして、感染症を診るための医療機関、非感染症のための医療機関と役割分担、医療施設における感染を防ぐことが大切ではないかと考えています。

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