喫煙者の呼出煙から最終喫煙後8時間に渡って有害物質の一つ「一酸化炭素」が排出され続けているというエビデンスがあります。
喫煙は心血管疾患の最大のリスク因子です。2018/6/27、東京都の受動喫煙防止条例が成立し、2018/7/12、参議院厚生労働委員会にて可決しており、今期国会中に成立する見込みです。敷地の面積条件がザルではないかという指摘もありますが、東京オリンピックを眼の前にして、いよいよ日本でもまともな受動喫煙対策が始まって来たという意味では、一歩、大きな前進です。
禁煙宣言→https://ochanomizunaika.com/nomoresmoking
さて、お茶の水循環器内科では、禁煙宣言を定めています。お茶の水循環器内科ではさらに厳格な受動喫煙対策を実施しています。具体的には、医療機関が敷地内禁煙であることは当然ですが、敷地内禁煙という地理的な受動喫煙対策だけではなく、喫煙者の喫煙後の息、「呼出煙」による受動喫煙の対策も必要ではないかと考えています。医療機関には心筋梗塞後や狭心症など、心血管疾患のリスクが非常に高い患者さんが多くいらっしゃいます。医療機関ではより厳格に、「地理的受動喫煙」に加えて、「時間的受動喫煙」という観点から、両方の受動喫煙を防止していくことが重要であると考えるからです。お茶の水循環器内科では、院内における時間的受動喫煙防止の観点から、具体的には、喫煙者は喫煙後最大8時間は受診を控えていただくか、禁煙をしただくか、選んでいただく方針としています。なぜなら、喫煙者の息からは、最終喫煙後8時間は有害物質の一つ「一酸化炭素」が排出され続けているというエビデンスがあり、呼出煙による受動喫煙も防ぐ必要があると考えるからです。
「Assessing recent smoking status by measuring exhaled carbon monoxide levels.」→https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22194931
このたび、そのエビデンスとして、「Assessing recent smoking status by measuring exhaled carbon monoxide levels.」という論文を紹介します。リンク先の論文の「Figure 2」にあるように、最終喫煙後も呼気から一酸化炭素が持続的に排出され続けていることを示しており、時間の経過とともに一酸化炭素の濃度は次第に減少していきますが、最終喫煙後8時間の時点でもなお一酸化炭素が検出されていることがわかります。お茶の水循環器内科ではこのエビデンスに基づき、従来の「地理的受動喫煙」だけでは不十分と判断し、「時間的受動喫煙」も含めたより厳格な受動喫煙対策を採用するに至りました。ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。当院の診療指針にご理解いただけない場合は他の医療機関をご紹介していますので、どうぞお気軽にご相談ください。
お茶の水循環器内科院長の五十嵐健祐と申します。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、医療法人化に伴い、循環器専門の医療機関として生まれ変わりました。我々の使命は「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」です。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、血管を守ることで予防が可能です。血管を守るとは、具体的に、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続をすることです。そのためには、夜間も土日でも通院しやすいように、夜間も土日も診療をオープンにし、循環器疾患の一次予防、二次予防のために診療を行っています。
しかしながら、我々の理念とは無関係に、ただ夜も空いていて便利だから、ただ土日もやっているからという理由だけで患者さんが殺到し過ぎてしまい、2018年冬、診療体制の継続が困難な事態に陥ってしまいました。2018年春、ゼロベースで、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもとに全ての診療体制の見直しを行い、2018年春には医療法人化に伴い、「お茶の水循環器内科」として循環器専門の医療機関に生まれ変わりました。今後とも夜間も土日も診療をオープンにし、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続、循環器疾患の一次予防、二次予防のために診療を行っています。心筋梗塞と脳卒中を防ぎ、「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」、これが我々の使命です。詳しくは上記ページに医療法人社団お茶会のミッションをまとめましたのでご覧ください。新しく生まれ変わったお茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
2018年4月1日、お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐
【具体的な診療範囲】
当院は循環器専門の医療機関です。循環器とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患、抗血小板療法、抗凝固療法、心房細動を始めとする不整脈、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、慢性心不全などの循環器疾患です。循環器の診療範囲を具体的にまとめました。
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・不整脈(上室期外収縮、心室期外収縮、房室ブロック、心房細動、他)
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理、二次予防、再発予防
・その他、健診の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器です。脳梗塞や脳出血等の脳血管障害、脳卒中は脳神経内科や脳神経外科が診ることも多いですが、どちらも血管の故障の予防という意味では一次予防、二次予防としてやるべきことは循環器と共通です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等の生活習慣病も循環器病のリスク因子という点で循環器の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器の仕事です。