2020/6/1、COVID-19においてコルヒチンと標準治療で心臓、炎症性バイオマーカー、臨床転帰を比較した研究「Effect of Colchicine vs Standard Care on Cardiac and Inflammatory Biomarkers and Clinical Outcomes in Patients Hospitalized With Coronavirus Disease 2019: The GRECCO-19 Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。

2020/6/1、COVID-19においてコルヒチンと標準治療で心臓、炎症性バイオマーカー、臨床転帰を比較した研究「Effect of Colchicine vs Standard Care on Cardiac and Inflammatory Biomarkers and Clinical Outcomes in Patients Hospitalized With Coronavirus Disease 2019: The GRECCO-19 Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。SARS-CoV-2感染は世界的パンデミックに拡大しました。低用量コルヒチンは抗炎症作用と高い安全性を併せ持っています。COVID-19入院例に対して、コルヒチンの心臓、炎症性バイオマーカー、臨床転帰に与える影響を検討するために、ギリシャにて前向きオープンラベル無作為化臨床試験「the Greek Study in the Effects of Colchicine in COVID-19 Complications Prevention」を実施、2020/4/3から4/27まで、COVID-19入院例105例を対象に、標準治療と標準治療にコルヒチンに無作為に割り振りました。ギリシャの三次病院にて実施しました。コルヒチンは、1.5mgの負荷投与と、その後60分後以降の0.5mg 2Tの維持量とし、少なくとも3週間以上継続しました。主要転帰は高感度トロポニン値の最大値、CRPが上限基準値の3倍以上の時間、正常から死亡まで7段階の臨床状態スケールのうち、2段階以上悪化した割合としました。副次転帰は機械換気を必要とする率、全死亡、重大有害事象の数、タイプ、重症度としました。有効性の一次解析は処理意図分析を行いました。結果、105例、男性61例(58.1%)、平均年齢64歳、対照群50例(47.6%)、コルヒチン群55例(52.4%)でした。高感度トロポニンの最大値は、対照群0.0112(0.0043-0.0093)ng/mL、コルヒチン群0.008(0.004-0.0135)ng/mLで有意差(P = .34)はありませんでした。CRP最大値は、4.5(1.4-8.9)mg/dL、3.1(0.8-9.8)mg/dLで、有意差(P = .73)はありませんでした。臨床主要転帰の発生率は、対照群14.0%、コルヒチン群1.8%で、有意差(odds ratio, 0.11; 95% CI, 0.01-0.96; P =0.02)を認めました。事象フリー生存時間の平均値は、対照群18.6(0.83)日、コルヒチン群20.7(0.31 log rank P = 0.03)でした。有害事象は、下痢がコルヒチン群で対照群と比べて有意に高率(25 patients [45.5%] vs 9 patients [18.0%]; P = .003)であったことを除いて、両群間で同等でした。無作為化臨床試験の結果、コルヒチン群で臨床状態が有意に改善を認めました。高感度トロポニン値、CRP値には有意差を認めませんでした。この結果は解釈には注意が必要だろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32579195
古くからある痛風発作治療薬コルヒチンですが、作用機序は不明な部分も多いのですが、好中球遊走阻害作用があると指摘されています。過剰な炎症反応を防ぐ作用があるのかも知れません。小規模な研究、炎症性バイオマーカーでは有意差がないことから解釈は慎重にと論文ではまとめています。日経メディカル記事になっていました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t344/202007/566360.html
コルヒチンはまだ知られれいない作用が多く、急性心筋梗塞後の再発予防効果があるのではないかと報告もあります。詳しくは以前のまとめをご覧ください。
「2019/11/16(土)-11/18(月)、フィラデルフィアで開催されたアメリカ心臓協会学術集会(AHA2019)にて低用量コルヒチンと心血管疾患の関係を調べた研究「Efficacy and Safety of Low-Dose Colchicine after Myocardial Infarction: COLCOT trial」の結果が発表されました。」
https://ochanomizunaika.com/12517


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