2020/10/13、経皮的冠動脈形成術後、薬剤溶出性ステント留置後の抗血小板薬2剤併用療法について系統レビュー、メタ解析「Dual Antiplatelet Therapy After Percutaneous Coronary Intervention and Drug-Eluting Stents: A Systematic Review and Network Meta-Analysis」の要旨をまとめました。

2020/10/13、経皮的冠動脈形成術後、薬剤溶出性ステント留置後の抗血小板薬2剤併用療法について系統レビュー、メタ解析「Dual Antiplatelet Therapy After Percutaneous Coronary Intervention and Drug-Eluting Stents: A Systematic Review and Network Meta-Analysis」の要旨をまとめました。薬剤溶出性ステントによる経皮的冠動脈形成術後の抗血小板薬2剤併用療法の至適期間はまだ十分にわかっていません。薬剤溶出性ステントによる経皮的冠動脈形成術後、6ヶ月未満の短期間の抗血小板薬2剤併用療法後、アスピリンまたはP2Y12阻害薬の単剤療法と、中期間、6ヶ月の抗血小板薬2剤併用療法、12ヶ月の抗血小板薬2剤併用療法、12ヶ月以上の長期間の抗血小板薬2剤併用療法を比較しました。2019年9月まで、Medline、Embase、Cochrane library、オンラインデータベースを使用、24本の無作為化試験を選出しました。主要評価項目は心筋梗塞、大出血、総臨床ベネフィットとしました。無作為化影響モデルにて頻度推定ネットワークメタ解析を実施しました。79073例、中央値追跡18ヶ月、長期間の抗血小板薬2剤併用療法は、12ヶ月の抗血小板薬2剤併用療法((absolute risk difference, -3.8 incident cases per 1000 person-years; relative risk, 0.68 [95% CI, 0.54-0.87]))、中期間の抗血小板薬2剤併用療法(absolute risk difference, -4.6 incident cases per 1000 person-years; relative risk, 0.61 [0.45-0.83])、短期間の抗血小板薬2剤併用療法後のアスピリン単剤療法(absolute risk difference, -6.1 incident cases per 1000 person-years; relative risk, 0.55 [0.37-0.83])、短期間の抗血小板薬2剤併用療法後のP2Y12阻害薬単剤療法(absolute risk difference, -3.7 incident cases per 1000 person-years; relative risk, 0.69 [0.51-0.95])と比べて、心筋梗塞リスク減少と関連を認めました。反対に、長期間の抗血小板薬2剤併用療法は他の抗血小板薬2剤併用療法群と比べて、大出血リスク上昇と関連を認めました。12ヶ月の抗血小板薬2剤併用療法と比べて、中期間の抗血小板薬2剤併用療法、短期間の抗血小板薬2剤併用療法後のアスピリン単剤療法と比べて、虚血性評価項目、出血性評価項目リスクにおいて差を認めませんでした。短期間の抗血小板薬2剤併用療法後のP2Y12阻害薬単剤療法は大出血リスク減少と関連を認めました。抗血小板薬2剤併用療法の戦略の違いによって死亡率の有意差は認めませんでした。急性冠症候群の場合、長期の抗血小板薬2剤併用療法は、12ヶ月の抗血小板薬2剤併用療法は、大出血リスクを有意に上昇させることなく、心筋梗塞リスク減少と関連を認めました。ネットワークメタ解析の結果、12ヶ月の抗血小板薬2剤併用療法と比べて、短期間の抗血小板薬2剤併用療法後のP2Y12阻害薬単剤療法は、薬剤溶出性ステントによる経皮的冠動脈形成術後の大出血を減少、長期間の抗血小板薬2剤併用療法は出血事象を増やしましたが、心筋梗塞を減少させました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32795096
経皮的冠動脈形成術後の抗血小板薬2剤併用療法に関して、最適な期間と薬剤選択についてのメタ解析です。出血リスクと虚血リスクは常にトレードオフ関係にありますが、メタ解析の結果、12ヶ月の場合は心筋梗塞リスク減少、6ヶ月間未満の場合は出血リスク減少という結果で、やはりトレードオフということが明らかになりました。最近は施設によりますが、間を取って9ヶ月間前後とすることが多いです。詳しくは主治医とご相談ください。


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