2018/6/27(水)、東京都の受動喫煙防止条例が可決されました。

2018/6/27、東京都の受動喫煙防止条例が可決されました。対象は、「親族以外の従業員を雇っている飲食店」とのことで、「親族以外の従業員を雇っていない飲食店」は対象外、条例に違反した場合は5万円以下の過料という罰則付き、東京オリンピック開催の2020年の全面施行に向けて、これから段階的に施行とのことです。喫煙室を設ければいいというのは受動喫煙対策としては不十分なんじゃないか、とか、加熱式たばこは規制の対象外とするだけの安全性の根拠がないんじゃないかなど、医師として細かいツッコミはありますが、東京都内の飲食店の84%が対象になる条例が成立するということで、受動喫煙防止に与える社会的インパクトは大きいと思います。ちなみに、話題となっている飲食店だけではなく、保育所、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学などの教育機関、診療所や病院などの医療機関、行政機関、児童福祉施設、老人福祉施設、運動施設、バス、タクシー、鉄道、航空機、船なども敷地内禁煙とのことで、いずれにせよ、望まない受動喫煙から非喫煙者を守ることは良いことです。

一循環器内科医としての意見ですが、心血管疾患の最も修正可能な危険因子である喫煙に対する対策は、新薬の開発や医療従事者の増員等よりも、疾病予防対策としてプライオリティは非常に高いと思います。たまに、禁煙外来への受診に誘導して儲けたいのではないか的な陰謀論がありますが、もし仮に本気で儲けたいのであれば、がん、心筋梗塞、脳卒中を増加させることがすでにわかっている煙草をもっと吸わせたほうが医療機関は儲かる訳で、多くの医師が禁煙政策に反対するはずです。たまに薬局で煙草を売っているところがありますが、さすがに医療機関で煙草を売っているところは見たことがありません。ちなみに禁煙外来の保険点数は全5回の通院全体で5000点程度で、点数の割には手間と時間が掛かるもので、医療機関としてはむしろあまり美味しいものでもありません。予防可能な病気をなくすことが公衆衛生の基本です。病気はなければないほど良いのです。

禁煙宣言→https://ochanomizunaika.com/nomoresmoking

当院でも禁煙宣言を作っていますが、メインコンセプトは非喫煙者を健康被害から守ることです。禁煙政策をウォッチしている一人、日本循環器学会でも禁煙推進委員会のセッションに参加するくらいのソフト過激派ですが、受動喫煙防止政策というのは、ある意味とても悲しいことなのです。今まで、多くの医師は、喫煙者本人へ、本人の健康のため、本人のためを思って、一生懸命に禁煙を奨めて来ましたし、事実その熱意に動かされて煙草を辞めた人はたくさんいます。ここ数年感じるのは、今まだ喫煙者であることを選択している人は、煙草を辞めない理由、吸う必要性がある理由を挙げるのがすこぶる上手で、医療者がどれだけ熱意を持って禁煙の必要性を説明しても、まるで辞める気がありません。禁煙の意志の真逆で、禁煙しないことへの強い意志さえ感じるレベルで、喫煙政策が、本人への禁煙から受動喫煙対策にシフトして来ているというのは、喫煙者本人への禁煙への行動変容を半分諦めているということの裏返しなのです。受動喫煙対策とは、本人が煙草を辞める気がないことはよくわかったから、他の人に迷惑を掛けないようにだけしてくれ、という意味なのです。愛の反対は無関心という言葉がありますが、関心の対象が、喫煙者本人の健康ではなく、非喫煙者の健康被害のほうへ関心が移っているのが、受動喫煙対策です。勿論、理想論として、全ての日本国民を喫煙の健康被害から守るのが公衆衛生ですが、喫煙者の喫煙を辞めないことの強い意志、権利主張を見ると、非喫煙者の健康被害を守ろうということに重点がシフトして来ていることは、やむを得ないトレンドなのかなあと感じます。長くなりましたが、受動喫煙政策とは半分諦めの政策なのです。でも、やらないよりは絶対に良いし、不完全であっても、公衆衛生政策の大きな一歩、大きな前進であると、一医療者として考えています。

画像はおちゃねこ家族の一人、あかちゃん猫です。名前はまだありません。煙草の煙が大の苦手です。


【お茶の水循環器内科になりました】

お茶の水循環器内科院長の五十嵐健祐と申します。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、医療法人化に伴い、循環器専門の医療機関として生まれ変わりました。我々の使命は「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」です。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、血管を守ることで予防が可能です。血管を守るとは、具体的に、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続をすることです。そのためには、夜間も土日でも通院しやすいように、夜間も土日も診療をオープンにし、循環器疾患の一次予防、二次予防のために診療を行っています。
ミッション→https://ochanomizunaika.com/mission
しかしながら、我々の理念とは無関係に、ただ夜も空いていて便利だから、ただ土日もやっているからという理由だけで患者さんが殺到し過ぎてしまい、2018年冬、診療体制の継続が困難な事態に陥ってしまいました。2018年春、ゼロベースで、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもとに全ての診療体制の見直しを行い、2018年春には医療法人化に伴い、「お茶の水循環器内科」として循環器専門の医療機関に生まれ変わりました。今後とも夜間も土日も診療をオープンにし、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続、循環器疾患の一次予防、二次予防のために診療を行っています。心筋梗塞と脳卒中を防ぎ、「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」、これが我々の使命です。詳しくは上記ページに医療法人社団お茶会のミッションをまとめましたのでご覧ください。新しく生まれ変わったお茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
2018年4月1日、お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐
【具体的な診療範囲】
当院は循環器専門の医療機関です。循環器とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患、抗血小板療法、抗凝固療法、心房細動を始めとする不整脈、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、慢性心不全などの循環器疾患です。循環器の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、他)
・心筋梗塞後、ステント留置後の管理、抗血小板療法
・慢性心不全の管理
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・人工弁置換術後の管理、抗凝固療法
・心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症、他)
・不整脈(上室期外収縮、心室期外収縮、房室ブロック、心房細動、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理、二次予防、再発予防
・高血圧症、二次性高血圧症
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・糖尿病、糖尿病合併症の管理
・慢性腎臓病
・睡眠時無呼吸症候群
・その他、健診の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器です。脳梗塞や脳出血等の脳血管障害、脳卒中は脳神経内科や脳神経外科が診ることも多いですが、どちらも血管の故障の予防という意味では一次予防、二次予防としてやるべきことは循環器と共通です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等の生活習慣病も循環器病のリスク因子という点で循環器の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器の仕事です。
【当院で対応していないもの】(2018/4/1更新)
2018/4/1以降、当院で対応していないものを具体的にまとめました。定期的に見直しを行っていますので、ご来院の前には必ずご確認ください。ご来院いただいても受付にて適切な診療科のご紹介の対応となることを予めご了承ください。下記に具体的にまとめましたので、診療科探しの際にご参考ください。
・風邪、インフルエンザ等→一般内科
・咳、痰等→呼吸器内科
・吐気、下痢、腹痛等→消化器内科
・花粉症、アレルギー等→耳鼻咽喉科、アレルギー科
・不眠、不安等→心療内科等
東京都の医療機関探しは、東京都医療機関案内ひまわり(☎ 03-5272-0303)をご活用ください。幸い、首都圏には夜間や土日も診療しているクリニックは最近少しづつ増えて来ています。随時紹介状の発行も行っていますのでお気軽にご相談ください。ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。新しく生まれ変わったお茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
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