2016/12/7(水)、たこつぼ症候群と急性冠症候群と鑑別のための新しい臨床スコア「InterTAK診断スコア」の研究「A novel clinical score (InterTAK Diagnostic Score) to differentiate takotsubo syndrome from acute coronary syndrome: results from the International Takotsubo Registry」の結果をまとめました。

2016/12/7(水)、たこつぼ症候群と急性冠症候群と鑑別のための新しい臨床スコア「InterTAK診断スコア」の研究「A novel clinical score (InterTAK Diagnostic Score) to differentiate takotsubo syndrome from acute coronary syndrome: results from the International Takotsubo Registry」の結果をまとめました。たこつぼ症候群(takotsubo syndrome: TTS)と、たこつぼ症候群によく似た急性冠症候群を区別するために、たこつぼ症候群の可能性を評価し、急性冠症候群の急性期とたこつぼ症候群を鑑別するための臨床スコアを開発しました。国際たこつぼレジストリ(http://www.takotsubo-registry.com)のたこつぼ症候群のデータと、チューリッヒの基幹病院の急性冠症候群のデータから、たこつぼ症候群218例、急性冠症候群436例、多変量ロジスティクス回帰モデルで導出コホートを実施しました。ベストモデルとして、7項目の変数からなる国際たこつぼ診断スコア「InterTAK Diagnostic Score」を開発しました。具体的には、女性+25、感情的トリガー+24、身体的トリガー+13、aVR誘導を除いてST部分の低下を認めないこと+12、精神疾患+11、神経疾患+9、補正QT時間の延長+6点と評価します。結果スコアの曲線下面積は0.971(95%CI 0.96-0.98)、スコア40点をカットオフ値とした場合、感度89%、特異度91%でした。50点以上をたこつぼ症候群と診断した場合、たこつぼ症候群の95%近くが正しく診断されました。31点以下を急性冠症候群と診断した場合、急性冠症候群の95%近くが正しく診断されました。導出コホートとは別に、たこつぼ症候群173例、急性冠症候群226例で検証コホートを行ったところ、曲線下面積0.901(95%CI 0.87-0.93)でした。「InterTAK Diagnostic Score」はたこつぼ症候群の可能性を評価、急性冠症候群とたこつぼ症候群を高い感度と特異度で区別可能であることがわかりました。詳しくは論文をご覧ください。
http://www.onlinejacc.org/content/69/11_Supplement/692
たこつぼ症候群の臨床診断についての2016年の論文です。人工知能や機械学習などが騒がれる前の時代でしたが、スコアリングのみで感度89%、特異度91%と、高い精度を達成しています。スコアのみで判断する必要はなく、判別に悩むようであれば、心エコー、冠動脈造影、左室造影を追加すれば良いので、実臨床で使うためには、この程度の使いやすさが大事だったりします。


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