2020/5/7(木)、モバイルヘルステクノロジーで心房細動のケアは改善するかを調べた研究「Mobile Health Technology to Improve Care for Patients With Atrial Fibrillation」の結果をまとめました。

2020/5/7(木)、モバイルヘルステクノロジーで心房細動のケアは改善するかを調べた研究「Mobile Health Technology to Improve Care for Patients With Atrial Fibrillation」の結果をまとめました。
http://www.onlinejacc.org/content/75/13/1523
心房細動の現在の管理は、心房細動の検出、ガイドラインのアドヒアランス、患者嗜好の考慮等の面において限界があり、心房細動の管理においてより総合的(holistic)で統合的(integrated)なアプローチが求められています。モバイルヘルステクノロジーによる心房細動の統合的な管理戦略は、通常の治療と比べて、心房細動関連の有害事象を減らすかどうか調べるために、2018年から2019年まで、中国、40施設において18歳以上の心房細動を対象に、無作為化試験を実施しました。通常治療群と、モバイル心房細動アプリケーション(mobile AF Application: mAFA)介入群に無作為に割り付けました。mAFA介入群ではABC(Atrial Fibrillation Better Care)Pathwayとして、A:脳卒中予防(Avoid stroke)、B:自覚症状の改善(Better symptom management)、C:心血管、他合併症リスク低減(Cardiovascular and other comorbidity risk reduction)の3つの内容を提供しました。一次複合転帰は、脳卒中、血栓塞栓症、全死亡、再入院の複合としました。二次転帰は再入院としました。心血管イベントの評価はベースラインにおけるリスク調整後Cox回帰ハザードモデルを使用しました。結果、モバイル心房細動アプリケーション介入群1646例、平均年齢67.0歳、女性38.0%、平均追跡期間262日、通常治療群1646例、平均年齢70.0歳、女性38.0%、平均追跡期間291日でした。虚血性脳卒中、全身性血栓塞栓症、死亡、再入院の複合の発生率は、モバイル心房細動アプリケーション介入群は、通常治療群と比べて、有意に減少(1.9% vs 6.0% HR 0.39 95%CI 0.22 to 0.67 p<0.001)を認めました。再入院率もmAFA介入群で有意に減少(1.2% vs 4.5% HR 0.32 95%CI 0.17 to 0.60 p<0.001)を認めました。サブグループ解析では、性別、年齢、心房細動のタイプ、リスクスコア、併存疾患等においても、モバイル心房細動アプリケーション介入群は通常治療群と比較して一貫して複合転帰の有意な減少(all p<0.05))を認めました。総合的な心房細動ケアのために、モバイルヘルステクノロジーのサポートによる統合的なケアのアプローチは、再入院、臨床的有害事象のリスクを減少させました。詳しくは論文をご覧ください。
http://www.onlinejacc.org/content/75/13/1523
心房細動の検出だけではなく、脳卒中予防、自覚症状の管理、心血管疾患予防等、包括的な心房細動管理のアプローチが有用であったという報告です。脳卒中、血栓塞栓症、全死亡、再入院の複合の一次転帰が61%も低下したという数字は、モバイルヘルステクノロジーだけでここまで介入効果があるのかと驚くべき結果です。


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