厚生労働省から「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が公表されました。

2018/3/30(土)、厚生労働省「情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成検討会」から「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が公表されました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000201790.html

要点としては、前回、2018/3/9(金)「オンライン診療の適切な実施に関する指針(案)」の発表とも重複するところもありますが、いくつかピックアップすると、

・オンライン受診勧奨の具体例として、「医師が患者に対し詳しく問診を行い、医師が患者個人の心身の状態に応じた医学的な判断を行ったうえで、適切な診療科への受診勧奨を実施(発疹に対し問診を行い、「あなたはこの発疹の形状や色ですと蕁麻疹が疑われるので、皮膚科を受診してください」と勧奨する等)」と、具体的に例示されました。

・遠隔健康医療相談の具体例として、「・小児救急電話相談事業(#8000):応答マニュアルに沿って小児科医師・看護師等が電話により相談対応・相談者個別の状態に応じた医師の判断を伴わない、医療に関する一般的な情報提供や受診勧奨(「発疹がある場合は皮膚科を受診してください」と勧奨する等)・教員が学校医に複数生徒が嘔吐した場合の一般的対処方法を相談」と、具体的に例示されました。

・治験や臨床試験については、引き続き、「オンライン診療は、対面診察に比べて、得られる情報が少なくなってしまうことから、治験や臨床試験等を経ていない安全性の確立されていない医療を提供するべきではない。」と、治験や臨床試験においてオンライン診療の利用を禁止することが明確化されました。

・初診については、「初診は、原則として直接の対面による診療を行うこと。急病急変患者については、原則として直接の対面による診療を行うこと。なお、急病急変患者であっても、直接の対面による診療を行った後、患者の容態が安定した段階に至った際は、オンライン診療の適用を検討してもよい。例外として、患者がすぐに適切な医療を受けられない状況にある場合などにおいて、患者のために速やかにオンライン診療による診療を行う必要性が認められるときは、オンライン診療を行う必要性・有効性とそのリスクを踏まえた上で、医師の判断の下、初診であってもオンライン診療を行うことは許容され得る。ただし、この場合であっても、オンライン診療の後に、原則、直接の対面診療を行うこと。」と、記載されており、初診は原則として対面診療を行うことがより強調されました。

・適用対象の適切な例として、「生活習慣病等の慢性疾患について、定期的な直接の対面診療の一部をオンライン診療に代替し、医師及び患者の利便性の向上を図る例」、及び「生活習慣病等の慢性疾患について、定期的な直接の対面診療にオンライン診療を追加し、医学管理の継続性や服薬コンプライアンス等の向上を図る例」と、オンライン診療の適切な使い方が具体的に例示されました。

・適用対象が不適切な例として、前回と同様、「国内全域の患者を対象に、初診で処方を行うような診療内容であることをウェブサイトで示している例」と、明確化されました。

・オンライン診療の対象について、「原則として、オンライン診療を行う全ての医師は、直接の対面診療を経た上でオンライン診療を行うこと。」と記載をしつつ、「在宅診療において在宅療養支援診療所が連携して地域で対応する仕組みが構築されている場合や複数の診療科の医師がチームで診療を行う場合などにおいて、特定の複数医師が関与することについて診療計画で明示しており、 いずれかの医師が直接の対面診療を行っている場合は、全ての医師について直接の対面診療が行われていなくとも、これらの医師が交代でオンライン診療を行うこととして差し支えない。」、「オンライン診療を行う予定であった医師の病欠、勤務の変更などによ り、診療計画において予定されていない代診医がオンライン診療を行わなければならない場合は、患者の同意を得たうえで、診療録記載を含む十分な引継ぎを行っていれば、実施することとして差し支えない。」と、複数医師によるグループ診療や病欠等の場面を想定し、治療計画の十分な引き継ぎがなされていれば、柔軟に対応して良いことが明確化されました。

・オンライン診療における治療計画として、具体的に、次の事項を含む診療計画を定めるように、ガイドラインで規定されました。具体的には、「・ オンライン診療で行う具体的な診療内容(疾病名、治療内容等)・ オンライン診療と直接の対面診療、検査の組み合わせに関する事項(頻度
やタイミング等)・ 診療時間に関する事項(予約制等)・ オンライン診療の方法(使用する情報通信機器等)・ オンライン診療を行わないと判断する条件と、条件に該当した場合に直接の対面診療に切り替える旨(情報通信環境の障害等によりオンライン診療を行うことができなくなる場合を含む。)・ 触診等ができないこと等により得られる情報が限られることを踏まえ、患者が診察に対し積極的に協力する必要がある旨・ 急病急変時の対応方針(自らが対応できない疾患等の場合は、対応できる医療機関の明示)・ 複数の医師がオンライン診療を実施する予定がある場合は、その医師の氏名及びどのような場合にどの医師がオンライン診療を行うかの明示・ 情報漏洩等のリスクを踏まえて、セキュリティリスクに関する責任の範囲及びそのとぎれがないこと等の明示」

・本人確認については、確認書類の例として「医師の免許確認:HPKI カード(医師資格証)、医師免許証の提示の活用、患者の本人確認:保険証、マイナンバーカード、運転免許証等の提示」等が例示されてはいますが、「オンライン診療であっても、姓名を名乗ってもらうなどの患者確認を、直接の対面診察と同様に行うことが望ましい。」、及び「初診を直接の対面診療で行った際に、社会通念上、当然に医師であると認識できる状況であった場合、その後に実施するオンライン診療においては、患者からの求めがある場合を除き、医師である旨の証明をする必要はない。」、また「社会通念上、当然に患者本人であると認識できる状況であった場合には、診療の都度本人確認を行う必要はない。 」と、毎回の身分証等の提示は必須ではなく、本人確認に関して通常の対面診療と同様で良いことが明確化されました。

・薬剤処方・管理が不適切な例として、前回と変更はなく、「患者が、向精神薬、睡眠薬、体重減少目的に使用される利尿薬や糖尿病治療薬、美容目的の保湿クリーム等の特定の医薬品の処方を希望するなど、医薬品の転売や不適正使用が疑われるような場合に、オンライン診療のみで患者の状態を十分に評価せず処方を行う例」、及び「勃起不全治療薬等の医薬品を、禁忌の確認を行うのに十分な情報が得られていないにもかかわらず、オンライン診療のみで処方する例」と非常に具体的に例示されました。

・診察方法に関して、最低限遵守する事項として、「オンライン診療では、可能な限り多くの診療情報を得るために、リアルタイムの視覚及び聴覚の情報を含む情報通信手段を採用すること。直接の対面診療に代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には補助的な手段として、画像や文字等による情報のやりとりを活用することは妨げない。ただし、オンライン診療は、文字、写真及び録画動画のみのやりとりで完結してはならない。」と記載て、メール、メッセンジャー等、いわゆるテキストのみ、画像のみの情報通信ツールのみによるオンライン診療は禁止であることが明確化されました。

その他、重複する部分もありますが、前回のまとめも合わせて、ご参考ください。

厚生労働省から「オンライン診療の適切な実施に関する指針(案)」が発表されました。→https://ochanomizunaika.com/2018-0311

毎度恒例になって来ましたが、通知をテキスト起こししました。どうぞお役立てください。資料の一部、通信環境(情報セキュリティ・利用端末)のあたりは、図が多用されていたため、画像にて補完しましたが、詳しくは直接資料の該当ページをご参照ください。

「オンライン診療の適切な実施に関する指針」→http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000201789.pdf


オンライン診療の適切な実施に関する指針

平成 30 年3月

厚 生 労 働 省

 

目次

Ⅰ オンライン診療を取り巻く環境

Ⅱ 本指針の関連法令等

Ⅲ 本指針に用いられる用語の定義と本指針の対象

(1) 用語の定義

(2) 本指針の対象

Ⅳ オンライン診療の実施に当たっての基本理念

Ⅴ 指針の具体的適用

1.オンライン診療の提供に関する事項

(1) 医師-患者関係/患者合意

(2) 適用対象

(3) 診療計画

(4) 本人確認

(5) 薬剤処方・管理

(6) 診察方法

2.オンライン診療の提供体制に関する事項

(1) 医師の所在

(2) 患者の所在

(3) 通信環境(情報セキュリティ・利用端末)

3.その他オンライン診療に関連する事項

(1) 医師教育/患者教育

(2) 質評価/フィードバック

(3) エビデンスの蓄積

(参考)オンライン診療における情報セキュリティ対策の例

 

Ⅰ オンライン診療を取り巻く環境

近年、情報通信機器は、その技術の飛躍的な進展とともに、急速な普及が進んでいる。情報通信機器を用いた診療については、これまで、無診察治療等を禁じている医師法(昭和 23 年法律第 201 号)第 20 条との関係について、平成9年の厚生省健康政策局長通知で解釈を示し、その後、二度に渡って当該通知の改正を行っている。また、電子的に医療情報を扱う際の情報セキュリティ等の観点から、平成 17 年に「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を公表し、累次の改正を行ってきている。
また、現在、「医師の働き方改革に関する検討会」において、医師の働き方の改善に関する検討が行われているが、平成 30 年2月に公表された中間的な論点整理において、ICT を活用した勤務環境改善が必要との意見が示されている。医師の偏在についても、「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」において、平成 29 年 12 月に「第2次中間取りまとめ」が公表されるなど、その対策について議論が進められているところであるが、情報通信機器を用いた診療は、医師の不足する地域において有用なものと考えられる。このような背景もあり、今後、更なる情報通信技術の進展に伴い、情報通信機器を用いた診療の普及が一層進んでいくと考えられるが、その安全で適切な普及を推進していくためにも、情報通信機器を用いた診療に係るこれまでの考え方を整理・統合し、適切なルール整備を行うことが求められている。本指針は、こうした観点から、オンライン診療に関して、最低限遵守する事項及び推奨される事項並びにその考え方を示し、安全性・必要性・有効性の観点から、医師、患者及び関係者が安心できる適切なオンライン診療の普及を推進するために策定するものである。また、本指針は今後のオンライン診療の普及、技術革新等の状況を踏まえ、定期的に内容を見直すことを予定している。

 

Ⅱ 本指針の関連法令等

無診察治療等の禁止

医師法(昭和 23 年法律第 201 号)(抄)

第 20 条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後二十四時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。

情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について(平成9年 12 月 24日付け健政発第 1075 号厚生省健康政策局長通知)

情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について(平成 29 年7月 14日付け医政発 0714 第4号厚生労働省医政局長通知)

医療提供場所

医療法(昭和 23 年法律第 205 号)(抄)

第1条の2 (略)

2 医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、病院、診療所、介護老人保健施設、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設(以下「医療提供施設」という。)、医療を受ける者の居宅等(居宅その他厚生労働省令で定める場所をいう。以下同じ。)において、医療提供施設の機能に応じ効率的に、かつ、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図りつつ提供されなければならない。

医療法施行規則(昭和 23 年厚生省令第 50 号)(抄)

第1条 医療法(昭和 23 年法律第 205 号。以下「法」という。)第1条の2第2項の厚生労働省令で定める場所は、次のとおりとする。

一 老人福祉法(昭和 38 年法律第 133 号)第 20 条の4に規定する養護老人ホーム

二 老人福祉法第 20 条の5に規定する特別養護老人ホーム

三 老人福祉法第 20 条の6に規定する軽費老人ホーム

四 老人福祉法第 29 条第1項に規定する有料老人ホーム

五 前各号に掲げる場所のほか、医療を受ける者が療養生活を営むことができる場所であつて、法第1条の2第2項に規定する医療提供施設以外の場所

情報セキュリティ関係

個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)(抄)

(安全管理措置)

第 20 条 個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又はき損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。

(従業者の監督)

第 21 条 個人情報取扱事業者は、その従業者に個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

(委託先の監督)

第 22 条 個人情報取扱事業者は、個人データの取扱いの全部又は一部を委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(平成 17 年3月 31 日医政発第0331009 号・薬食発第 0331020 号・保発第 0331005 号厚生労働省医政局長、医薬食品局長及び保険局長連名通知)

ASP・SaaS における情報セキュリティ対策ガイドライン(平成 20 年1月 30 日策定総務省)

ASP・SaaS 事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン(平成21 年7月 14 日策定、平成 22 年 12 月 24 日改定 総務省)

医療情報を受託管理する情報処理事業者における安全管理ガイドライン(平成 20年3月策定、平成 24 年 10 月 15 日改正 経済産業省)

個人情報の適切な取扱いに係る基幹システムのセキュリティ対策の強化について(依頼)(平成 27 年6月 17 日老発 0617 第1号・保発 0617 第1号厚生労働省老健局長及び保険局長連名通知)

医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(平成29 年4月 14 日個情第 534 号・医政発 0414 第6号・薬生発 0414 第1号・老発 0414第1号個人情報保護委員会事務局長、厚生労働省医政局長、医薬・生活衛生局長及び老健局長連名通知)

 

Ⅲ 本指針に用いられる用語の定義と本指針の対象

(1) 用語の定義

遠隔医療

情報通信機器を活用した健康増進、医療に関する行為

オンライン診療

遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為。

オンライン受診勧奨

遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して患者の診察を行い、医療機関への受診勧奨をリアルタイムにより行う行為であり、患者からの症状の訴えや、問診などの心身の状態の情報収集に基づき、疑われる疾患等を判断して、受診すべき適切な診療科を選択するなど、患者個人の心身の状態に応じた必要な最低限の医学的判断を伴う受診勧奨。具体的な疾患名を挙げて、これにり患している旨を伝達すること、一般用医薬品の具体的な使用を指示すること、処方等を行うことなどはオンライン診療に分類されるため、これらの行為はオンライン受診勧奨により行ってはならない。なお、社会通念上明らかに医療機関を受診するほどではない症状の者に対して経過観察や非受診の指示を行うような場合や、患者の個別的な状態に応じた医学的な判断を伴わない一般的な受診勧奨については遠隔健康医療相談として実施することができる。

遠隔健康医療相談

遠隔医療のうち、医師又は医師以外の者-相談者間において、情報通信機器を活用して得られた情報のやりとりを行うが、一般的な医学的な情報の提供や、一般的な受診勧奨に留まり、相談者の個別的な状態を踏まえた疾患のり患可能性の提示・診断等の医学的判断を伴わない行為。

オンライン診療支援者

医師-患者間のオンライン診療において、患者が情報通信機器の使用に慣れていない場合等に、その方法の説明など円滑なコミュニケーションを支援する者。家族であるか、看護師・介護福祉士等の医療・介護従事者であるかは問わない。

診断

一般的に、「診察、検査等により得られた患者の様々な情報を、確立された医学的法則に当てはめ、患者の病状などについて判断する行為」であり、疾患の名称、原因、現在の病状、今後の病状の予測、治療方針等について、主体的に判断を行い、これを伝達する行為は診断とされ、医行為となる。

医療情報安全管理関連ガイドライン

医療情報の取扱いに関わる厚生労働省、総務省及び経済産業省の3省が策定している医療情報の安全管理に関するガイドラインの総称。「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚生労働省)、「ASP・SaaS における情報セキュリティ対策ガイドライン」(総務省)、「ASP・SaaS 事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」(総務省)及び「医療情報を受託管理する情報処理事業者における安全管理ガイドライン」(経済産業省)を指す。なお、「ASP・SaaS 事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」(総務省)については、平成 30年度前半に改定され、内容が変更されるとともに、名称を「クラウドサービス事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」とされる予定であり、クラウドサービスを利用してオンライン診療を実施する場合には、改定後のガイドラインについても参照すること。

(2) 本指針の対象

ⅰ 本指針は、遠隔医療のうち、オンライン診療をその対象とする。

ⅱ オンライン受診勧奨については、一定の医学的判断の伝達を伴うものであり、誤った情報を患者に伝達した場合にはリスクが発生するものであるから、本指針の対象とする。本指針の適用に当たっては、「オンライン診療」を「オンライン受診勧奨」と読み替えて適用するが、直接の対面診療を前提とせず、処方も行わないので、Ⅴ1(1)「医師-患者関係/患者合意」の②ⅳ、(2)「適用対象」、(3)「診療計画」及び(5)「薬剤処方・管理」については適用しない。

ⅲ 遠隔健康医療相談については、本指針の対象とはしない。ただし、遠隔健康医療相談においても、診断等の相談者の個別的な状態に応じた医学的判断を含む行為が業として行われないようマニュアルを整備し、その遵守状況について適切なモニタリングが行われることが望ましい。

ⅳ 医師と患者の間にオンライン診療支援者が介在する場合のうち、オンライン診療支援者は単に情報通信機器の操作方法の説明等を行うに留まり、診療の補助行為等を行わないときは、医師-患者間で行われるオンライン診療の一形態として、本指針の対象とする。一方で、医師が看護師等の医療従事者に対してオンラインで指示を行い、その指示に従い当該医療従事者が診療の補助行為等を行う場合は、本指針の対象とはしない。

Ⅳ オンライン診療の実施に当たっての基本理念

オンライン診療は、

①患者の日常生活の情報も得ることにより、医療の質のさらなる向上に結び付けていくこと

②医療を必要とする患者に対して、医療に対するアクセシビリティ(アクセスの容易性)を確保し、よりよい医療を

ⅲ 医療の質の確認及び患者安全の確保

オンライン診療により行われる診療行為が安全で最善のものとなるよう、医師は自らが行った診療について、治療成績等の有効性の評価を定期的に行わなければならない。また、患者の急変などの緊急時等で、オンライン診療の実施が適切でない状況になった場合においても、患者の安全が確保されるよう、医師は、必要な体制を確保しなければならない。

ⅳ オンライン診療の限界などの正確な情報の提供

オンライン診療においては、対面診療に比べて得られる患者の心身の状態に関する情報が限定される。医師は、こうしたオンライン診療による診療行為の限界等を正しく理解した上で、患者及びその家族等に対して、オンライン診療の利点やこれにより生ずるおそれのある不利益等について、事前に説明を行わなければならない。

ⅴ 安全性や有効性のエビデンスに基づいた医療

適切なオンライン診療の普及のためには、その医療上の安全性・必要性・有効性が担保される必要があり、医師は安全性や有効性についてのエビデンスに基づいた医療を行うことが求められる。また、オンライン診療は、対面診察に比べて、得られる情報が少なくなってしまうことから、治験や臨床試験等を経ていない安全性の確立されていない医療を提供するべきではない。

ⅵ 患者の求めに基づく提供の徹底

オンライン診療は、患者がその利点及び生ずるおそれのある不利益等について理解した上で、患者がその実施を求める場合に実施されるべきものであり、研究を主目的としたり医師側の都合のみで行ったりしてはならない。

Ⅴ 指針の具体的適用

本章においては、オンライン診療を実施するに当たり、「最低限遵守する事項」及び「推奨される事項」を、その考え方とともに示すこととする。また、本指針の理解を容易にするため、必要に応じて、オンライン診療として「望ましい例」及び「不適切な例」等を付記する。「最低限遵守すべき事項」として掲げる事項は、オンライン診療の安全性を担保し、診療として有効な問診、診断等が行われるために必要なものである。このため、「最低限遵守すべき事項」として掲げる事項を遵守してオンライン診療を行う場合には、医師法第 20 条に抵触するものではない。なお、患者等の医療情報を保護する観点からセキュリティに関しては、Ⅴ2(3)に遵守すべき事項として記載する。なお、患者に重度の認知機能障害がある等により医師と十分に意思疎通が図ることができない場合は、患者本人を診察することを基本としながらも、患者の家族等が、患者の代理として、医師との情報のやりとり・診療計画の合意等を行うことができる。

1.オンライン診療の提供に関する事項

(1) 医師-患者関係/患者合意

①考え方

オンライン診療においては、患者が医師に対して、心身の状態に関する情報を伝えることとなることから、医師と患者が相互に信頼関係を構築した上で行われるべきである。このため、双方の合意に基づき実施される必要がある。この合意内容には、「診療計画」として定めるオンライン診療の具体的な実施ルールが含まれる必要がある。また、オンライン診療は、医師側の都合で行うものではなく、患者側からの求めがあってはじめて成立するものである。さらに、医師と患者の間には医学的知識等に差があることから、オンライン診療の利点やこれにより生じるおそれのある不利益等について、医師から患者に対して十分な情報を提供した上で、患者の合意を得ることを徹底し、その上で医師が適切にオンライン診療の適用の可否を含めた医学的判断を行うべきである。

②最低限遵守する事項

ⅰ オンライン診療を実施する際は、オンライン診療を実施する旨について、医師と患者との間で合意がある場合に行うこと。

ⅱ ⅰの合意を行うに当たっては、医師は、患者がオンライン診療を希望する旨を明示的に確認すること。なお、オンライン受診勧奨については、患者からの連絡に応じて実施する場合には、患者側の意思が明白であるため、当該確認は必要ではない。

ⅲ オンライン診療を実施する都度、医師が医学的な観点から実施の可否を判断し、オンライン診療を行うことが適切でないと判断した場合はオンライン診療を中止し、速やかに適切な対面診療につなげること。

ⅳ 医師は、患者のⅰの合意を得るに先立ち、患者に対して以下の事項について説明を行うこと。なお、緊急時にやむを得ずオンライン診療を実施する場合であって、ただちに説明等を行うことができないときは、説明可能となった時点において速やかに説明を行うこと。

・ 触診等を行うことができない等の理由により、オンライン診療で得られる情報は限られていることから、対面診療を組み合わせる必要があること

・ オンライン診療を実施する都度、医師がオンライン診療の実施の可否を判断すること

・ (3)に示す診療計画に含まれる事項

(2) 適用対象

①考え方

オンライン診療では、

・ 得られる情報が視覚及び聴覚に限られる中で、可能な限り、疾病の見落としや誤診を防ぐ必要があること

・ 医師が、患者から心身の状態に関する適切な情報を得るために、日頃より直接の対面診療を重ねるなど、医師-患者間で信頼関係を築いておく必要があることから、初診については原則直接の対面で行うべきである。また、オンライン診療の開始後であっても、オンライン診療の実施が望ましくないと判断される場合については対面による診療を行うべきである。

②最低限遵守する事項

ⅰ 直接の対面診察と同等でないにしても、これに代替し得る程度の患者の心身の状態に関する有用な情報を、オンライン診療により得ること。

ⅱ 初診は、原則として直接の対面による診療を行うこと。

ⅲ 急病急変患者については、原則として直接の対面による診療を行うこと。なお、急病急変患者であっても、直接の対面による診療を行った後、患者の容態が安定した段階に至った際は、オンライン診療の適用を検討してもよい。

ⅳ ⅱ及びⅲの例外として、患者がすぐに適切な医療を受けられない状況にある場合などにおいて、患者のために速やかにオンライン診療による診療を行う必要性が認められるときは、オンライン診療を行う必要性・有効性とそのリスクを踏まえた上で、医師の判断の下、初診であってもオンライン診療を行うことは許容され得る。ただし、この場合であっても、オンライン診療の後に、原則、直接の対面診療を行うこと。

ⅴ 原則として、オンライン診療を行う全ての医師は、直接の対面診療を経た上でオンライン診療を行うこと。ただし、在宅診療において在宅療養支援診療所が連携して地域で対応する仕組みが構築されている場合や複数の診療科の医師がチームで診療を行う場合などにおいて、特定の複数医師が関与することについて診療計画で明示しており、いずれかの医師が直接の対面診療を行っている場合は、全ての医師について直接の対面診療が行われていなくとも、これらの医師が交代でオンライン診療を行うこととして差し支えない。また、オンライン診療を行う予定であった医師の病欠、勤務の変更などにより、診療計画において予定されていない代診医がオンライン診療を行わなければならない場合は、患者の同意を得たうえで、診療録記載を含む十分な引継ぎを行っていれば、実施することとして差し支えない。

注 禁煙外来など定期的な健康診断等が行われる等により疾病を見落とすリスクが排除されている場合であって、治療によるリスクが極めて低いものに限っては、患者側の利益と不利益を十分に勘案した上で、直接の対面診療を組み合わせないオンライン診療を行うことが許容され得る。

③推奨される事項

自身の心身の状態に関する情報の伝達に困難がある患者については、伝達できる情報が限定されるオンライン診療の適用を慎重に判断するべきである。

④適切な例

ⅰ 生活習慣病等の慢性疾患について、定期的な直接の対面診療の一部をオンライン診療に代替し、医師及び患者の利便性の向上を図る例

ⅱ 生活習慣病等の慢性疾患について、定期的な直接の対面診療にオンライン診療を追加し、医学管理の継続性や服薬コンプライアンス等の向上を図る例

⑤不適切な例

初診で処方を行うような診療内容であることをウェブサイトで示している例

(3) 診療計画

①考え方

医師は、患者の心身の状態について十分な医学的評価を行った上で、医療の安全性の担保及び質の確保・向上や、利便性の向上を図る観点から、オンライン診療を行うに当たって必要となる医師-患者間のルールについて、②ⅰに掲げられるような事項を含め、「診療計画」として、患者の合意を得ておくべきである。なお、診療を行う医師が代わる場合に、「診療計画」を変更することによりオンライン診療の曜日や時間帯の変更など、患者の不利益につながるときは、患者の意思を十分尊重するべきである。

②最低限遵守する事項

ⅰ 医師は、オンライン診療を行う前に、患者の心身の状態について、直接の対面診療により十分な医学的評価(診断等)を行い、その評価に基づいて、次の事項を含む診療計画を定めること。

・ オンライン診療で行う具体的な診療内容(疾病名、治療内容等)

・ オンライン診療と直接の対面診療、検査の組み合わせに関する事項(頻度やタイミング等)

・ 診療時間に関する事項(予約制等)

・ オンライン診療の方法(使用する情報通信機器等)

・ オンライン診療を行わないと判断する条件と、条件に該当した場合に直接の対面診療に切り替える旨(情報通信環境の障害等によりオンライン診療を行うことができなくなる場合を含む。)

・ 触診等ができないこと等により得られる情報が限られることを踏まえ、患者が診察に対し積極的に協力する必要がある旨

・ 急病急変時の対応方針(自らが対応できない疾患等の場合は、対応できる医療機関の明示)

・ 複数の医師がオンライン診療を実施する予定がある場合は、その医師の氏名及びどのような場合にどの医師がオンライン診療を行うかの明示

・ 情報漏洩等のリスクを踏まえて、セキュリティリスクに関する責任の範囲及びそのとぎれがないこと等の明示

ⅱ オンライン診療において、映像や音声等を、医師側又は患者側端末に保存する場合には、それらの情報が診療以外の目的に使用され、患者又は医師が不利益を被ることを防ぐ観点から、事前に医師-患者間で、映像や音声等の保存の要否や保存端末等の取り決めを明確にし、双方で合意しておくこと。なお、医療情報の保存については、Ⅴ2(3)を参照すること。

ⅲ オンライン診療を行う疾病について急変が想定され、かつ急変時には他の医療機関に入院が必要になるなど、オンライン診療を実施する医師自らが対応できないことが想定される場合、そのような急変に対応できる医療機関に対して当該患者の診療録等必要な医療情報が事前に伝達されるよう、患者の心身の状態に関する情報提供を定期的に行うなど、適切な体制を整えておかなければならない。なお、離島など、急変時の対応を速やかに行うことが困難となると想定される場合については、急変時の対応について、事前に関係医療機関との合意を行っておくべきである。

③推奨される事項

ⅰ 診療計画は、文書又は電磁的記録により患者が参照できるようにすることが望ましい。

ⅱ 同一疾患について、複数の医師が同一の患者に対しオンライン診療を行う場合や、他の領域の専門医に引き継いだ場合において、既に作成されている診療計画を変更することにより、患者の不利益につながるときは、患者の意思を十分尊重した上で、当該診療計画を変更せずにオンライン診療を行うことが望ましい。

(4) 本人確認

①考え方

オンライン診療において、患者が医師に対して心身の状態に関する情報を伝えるに当たっては、医師は医師であることを、患者は患者本人であることを相手側に示す必要がある。また、オンライン診療であっても、姓名を名乗ってもらうなどの患者確認を、直接の対面診察と同様に行うことが望ましい。

②最低限遵守する事項

ⅰ 医師が医師免許を保有していることを患者が確認できる環境を整えておくこと。ただし、初診を直接の対面診療で行った際に、社会通念上、当然に医師であると認識できる状況であった場合、その後に実施するオンライン診療においては、患者からの求めがある場合を除き、医師である旨の証明をする必要はない。

ⅱ 緊急時などに患者が身分確認書類を保持していない等のやむを得ない事情がある場合を除き、原則として、医師は、患者に対して本人であることの確認を行うこと。ただし、社会通念上、当然に患者本人であると認識できる状況であった場合には、診療の都度本人確認を行う必要はない。

③確認書類の例

ⅰ 医師の免許確認:HPKI カード(医師資格証)、医師免許証の提示の活用

ⅱ 患者の本人確認:保険証、マイナンバーカード、運転免許証等の提示

(5) 薬剤処方・管理

①考え方

医薬品の使用は多くの場合副作用のリスクを伴うものであり、その処方に当たっては、効能・効果と副作用のリスクとを正確に判断する必要がある。このため、医薬品を処方する前に、患者の心身の状態を十分評価できている必要がある。また、医薬品の飲み合わせに配慮するとともに、適切な容量・日数を処方し過量処方とならないよう、医師が自らの処方内容を確認するとともに、薬剤師による処方のチェックを経ることを基本とし、薬剤管理には十分に注意が払われるべきである。

②最低限遵守する事項

ⅰ 現にオンライン診療を行っている疾患の延長とされる症状に対応するために必要な医薬品については、医師の判断により、オンライン診療による処方を可能とするが、患者の心身の状態の十分な評価を行うため、原則として、新たな疾患に対して医薬品の処方を行う場合は、直接の対面診療に基づきなされること。また、重篤な副作用が発現するおそれのある医薬品の処方は特に慎重に行うとともに、処方後の患者の服薬状況の把握に努めるなど、そのリスク管理に最大限努めなければならない。

ⅱ 医師は、患者に対し、現在服薬している医薬品を確認しなければならない。この場合、患者は医師に対し正確な申告を行うべきである。

③推奨される事項

医師は、患者に対し、かかりつけ薬剤師・薬局の下、医薬品の一元管理を行うことを求めることが望ましい。

④不適切な例

ⅰ 患者が、向精神薬、睡眠薬、医学的な必要性に基づかない体重減少目的に使用されうる利尿薬や糖尿病治療薬、美容目的に使用されうる保湿クリーム等の特定の医薬品の処方を希望するなど、医薬品の転売や不適正使用が疑われるような場合に処方することはあってはならず、このような場合に対面診療でその必要性等の確認を行わず、オンライン診療のみで患者の状態を十分に評価せず処方を行う例。

ⅱ 勃起不全治療薬等の医薬品を、禁忌の確認を行うのに十分な情報が得られていないにもかかわらず、オンライン診療のみで処方する例。

(6) 診察方法

①考え方

オンライン診療では、得られる情報に限りがあるため、医師は、直接の対面診療に代替し得る程度の患者の心身の状態に関する有用な情報を得られるよう努めなければならない。

②最低限遵守する事項

ⅰ 医師がオンライン診療を行っている間、患者の状態について十分に必要な情報が得られていると判断できない場合には、速やかにオンライン診療を中止し、直接の対面診療を行うこと。

ⅱ オンライン診療では、可能な限り多くの診療情報を得るために、リアルタイムの視覚及び聴覚の情報を含む情報通信手段を採用すること。直接の対面診療に代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には補助的な手段として、画像や文字等による情報のやりとりを活用することは妨げない。ただし、オンライン診療は、文字、写真及び録画動画のみのやりとりで完結してはならない。

ⅲ オンライン診療において、医師は、情報通信機器を介して、同時に複数の患者の診療を行ってはならない。

ⅳ 医師の他に医療従事者等が同席する場合は、その都度患者に説明を行い、患者の同意を得ること。

③推奨される事項

ⅰ 医師と患者が1対1で診療を行っていることを確認するために、オンライン診療の開始時間及び終了時間をアクセスログとして記録するシステムであることが望ましい。

ⅱ オンライン診療を実施する前に、直接の対面で、実際に使用する情報通信機器を用いた試験を実施し、情報通信機器を通して得られる画像の色彩や動作等について確認しておくことが望ましい。

2.オンライン診療の提供体制に関する事項

(1) 医師の所在

①考え方

医師は、必ずしも医療機関においてオンライン診療を行う必要はないが、騒音のある状況等、患者の心身の状態に関する情報を得るのに不適切な場所でオンライン診療を行うべきではない。また、診療の質を確保する観点から、医療機関に居る場合と同等程度に患者の心身の状態に関する情報を得られる体制を確保しておくべきである。また、オンライン診療は患者の心身の状態に関する情報の伝達を行うものであり、当該情報を保護する観点から、公衆の場でオンライン診療を行うべきではない。なお、患者の急病急変時に適切に対応するためには、患者に対して直接の対面診療を速やかに提供できる体制を整えておく必要がある。また、責任の所在を明らかにするためにも、医師は医療機関に所属しているべきである。

②最低限遵守する事項

ⅰ オンライン診療を行う医師は、医療機関に所属し、その所属を明らかにしていること。

ⅱ 患者の急病急変時に適切に対応するため、患者が速やかにアクセスできる医療機関において直接の対面診療を行える体制を整えておくこと。

ⅲ 医師は、騒音により音声が聞き取れない、ネットワークが不安定であり動画が途切れる等、オンライン診療を行うに当たり適切な判断を害する場所でオンライン診療を行ってはならない。

ⅳ オンライン診療を行う際は、診療録等、過去の患者の状態を把握しながら診療すること等により、医療機関に居る場合と同等程度に患者の心身の状態に関する情報を得られる体制を整えなければならない。ただし、緊急やむを得ない場合には、この限りでない。

ⅴ 第三者に患者の心身の状態に関する情報の伝わることのないよう、医師は物理的に外部から隔離される空間においてオンライン診療を行わなければならない。

③推奨される事項

オンライン診療を行う医師は、②ⅱの医療機関に容易にアクセスできるよう努めることが望ましい。

(2) 患者の所在

①考え方

医療は、医療法上、病院、診療所等の医療提供施設又は患者の居宅等で提供されなければならないこととされており、この取扱いは、オンライン診療であっても同様である。医療法施行規則第1条の現行の規定では、「居宅等」とは、老人福祉法に規定する養護老人ホーム等のほか、医療を受ける者が療養生活を営むことができる場所と規定されているが、療養生活を営むことができる場所については、オンライン診療であるか否かにかかわらず、既に、患者及びその家族等の状態や利便性等を勘案した判断を行っている。他方、医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師等の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき提供されるものであることから、患者の所在が医療提供施設であるか居宅等であるかにかかわらず、第三者に患者に関する個人情報・医療情報が伝わることのないよう、患者のプライバシーに十分配慮された環境でオンライン診療が行われるべきである。また、当然ながら、清潔が保持され、衛生上、防火上及び保安上安全と認められるような場所でオンライン診療が行われるべきである。

②最低限遵守する事項

ⅰ 患者がオンライン診療を受ける場所は、対面診療が行われる場合と同程度に、清潔かつ安全でなければならない。

ⅱ プライバシーが保たれるよう、患者が物理的に外部から隔離される空間においてオンライン診療が行わなければならない。

ⅲ 医療法上、特定多数人に対して医業又は歯科医業を提供する場所は病院又は診療所であり、これはオンライン診療であっても同様であるため、特定多数人に対してオンライン診療を提供する場合には、診療所の届出を行うこと。ただし、巡回診療の実施については、昭和 37 年6月 20 日付け医発 554 厚生省医務局長通知による、巡回診療の実施に準じて新たに診療所開設の手続きを要しない場合があること、また、健康診断等の実施については、平成7年 11 月 29 日付け健政発 927 号厚生省健康政策局長通知による、巡回健診等の実施に準じて、新たに診療所開設の手続きを要しないこと。

③患者の所在として認められる例

患者の日常生活等の事情によって異なるが、患者の勤務する職場等についても、療養生活を営むことのできる場所として認められる。

(3) 通信環境(情報セキュリティ・利用端末)

①考え方

オンライン診療の実施に当たっては、利用する情報通信機器やクラウドサービスを含むオンライン診療システム(汎用ビデオ電話サービス等も含む。)を適切に選択・使用するために、個人情報の保護に最大限配慮するとともに、情報セキュリティに関する対策を講じ、それらを患者・医師・オンライン診療システム提供事業者の三者で合意することが重要となる。本指針ではその整理を容易にするために、医療情報を保存しているシステムと1)接続(※)しない、2)接続する、と区分けをしたうえで、各々を利用する際に検討・考慮すべき事項を記載している。(※) 接続とは、医療情報システムに対して、中間的なサーバーを設置して、一旦オンライン診療システムからの影響を遮断する等の対策(ネットワーク上の分離)を実施しておらず、保存されている医療情報にアクセス可能な状態を指す。医師はオンライン診療システムを利用する際に、セキュリティリスクを十分に勘案し、患者に対して責任を負うこととなるが、オンライン診療システム提供事業者と専門性に応じた責任分担を行うことで、効果的な対策を行うよう努めること。なお、患者の行為により、セキュリティ事案や損害等が生じた場合に備えて、患者との間で責任の所在等についてあらかじめ合意しておくことが望ましい。また、技術的安全対策のほか、人的、物理的、組織的安全対策を総合的に検討・実施する必要がある。技術的安全対策はこのうちの一要素にすぎず、他の安全対策とともに包括的な安全対策を行う必要がある。

②遵守すべき事項

医師及び事業者は、次のような事項に留意すること。なお、当該事項を遵守していないシステムを使用する場合には、情報漏洩・不正アクセス等の一定のセキュリティリスクがあることを医師・患者双方が認識し、合意をした上で使用すること。

・ 医師-患者関係において、医師は、オンライン診療システムを選択し利用する際に、セキュリティリスクを十分に勘案すること

・ オンライン診療システム提供者(医療機関及びオンライン診療システム提供事業者を指す。以下同じ。)は、本指針に定める情報セキュリティに関するルールを厳守したシステムを構築し、常にその状態を保つこと

・ 事業者は患者および医師がシステムを利用する際の権利、義務、リスク等を明示したうえで、平易で理解しやすい形で、情報漏洩・不正アクセス等のセキュリティリスク、医師・患者双方のセキュリティ対策の内容、患者への影響等について、説明すること(説明資料等を作成し医師に提示することが望ましい。)。なお、医師は汎用ビデオ電話サービス等の利用にあたり、当該サービス等のセキュリティやプライバシーに関する規約等を確認し、セキュリティ対策の内容、セキュリティ事案や損害発生時の責任の所在、データ保存の有無や保存内容等について理解し、患者と合意の上で使用する必要があることに留意する。以上を踏まえた上で、オンライン診療の情報セキュリティ対策については、次のとおり整理する。なお、本指針を踏まえた「オンライン診療における情報セキュリティ対策の例」を巻末に参考として掲載しているので必要に応じ参照されたい。

1)医療情報システムとの接続を行わないケース

本ケースでは、電子カルテシステム等の医療情報システムに、オンライン診療システム、医師側端末及び患者側端末(以下「オンライン診療システム等」という。)は接続せず、原則として、オンライン診療システム等を通じた医療情報の保存は行わない。ただし、患者の合意の下、患者端末に本人の情報を患者の自己責任で保存する場合には、この限りではない。

ⅰ)患者側端末

患者側端末は、患者個人が契約するスマートフォン等による利用が想定されるが、その利用やセキュリティ対策の状況が多様であることから、患者側端末で対策が実施されていることを前提とせず、オンライン診療システム提供者側で万全のセキュリティ対策を講じることが必要である。患者側端末では特に情報漏えい等に注意すべきであるが、患者が、自らの判断で、自らの責任において、心身の状態に関する情報を端末に自ら保存することは、本指針で禁止するものではない。

ⅱ)医師側端末

オンライン診療システム提供者は、医師側端末においては、特に不正な利用者よるアクセスや情報漏えいのリスク等を念頭におくこと。なお、医師個人が所有端末の業務利用(BYOD)を行う場合には、これらに対する対策が適切に実施されていることを定期的に確認するよう運用規則等で定めることが必要である(確認結果を監査等向けに開示可能にしておくことが望ましい。)。

ⅲ)ネットワーク

医師及び患者から適切なオンライン診療システムにアクセスされていることを担保できる状態にしていること。また、ネットワーク機器への不正アクセスを防止するため、管理者権限の設定や適切な認証、また通信の暗号化等を実施することが必要である。なお、不特定多数の者が利用可能な公衆無線 LAN については、緊急時や他の手段がなくやむを得ない場合を除き使用しない。

2)医療情報システムと接続するケース

本ケースは、医療情報システムにオンライン診療システム等が接続する場合及びオンライン診療システム等自体に医療情報を保存する場合が該当する。一方、オンライン診療システム等と医療情報システムがネットワーク分離されていること等により、医療情報システムがオンライン診療システム等の影響を直接受けない場合には、医療情報システムの情報を参照してオンライン診療を行っていた場合でも、1)のケースとして取り扱うことが適当である。

医療機関がオンライン診療システムと電子カルテシステム等を接続し、医師がシステム内の医療情報を確認しながら診療を実施する場合や、患者側に検査結果等を表示しながら診療を行う場合は、医療情報安全管理関連ガイドラインに沿った対策を行うことが必要である。こうしたケースでは、例えば、

・ 医療情報を保存するシステムへの不正侵入防止対策等を講ずること

・ 医師個人所有端末の業務利用(BYOD)については、原則禁止とされていること

・ 法的保存義務のある医療情報を保存するサーバーを国内法が及ぶ場所に設置すること

等が留意点としてあげられる。なお、オンライン診療における患者側端末については、医療情報安全管理関連ガイドラインにおいて取扱いが明確となっていないが、患者側の端末を通じた医療情報システムへの不正アクセス等を防止する観点から、オンライン診療システムの機能として、患者側端末を医療情報システムと接続させないような措置を講ずる。この場合の患者個人所有端末の使用に当たっては1)と同様の対策を講ずることが必要である。また、オンライン診療に際し、医療機関側が管理する医療機器を患者側に貸与し、医療情報システムにデータを送る場合は、医療機関内に設置された医療機器と同等とみなし、当該貸与された医療機器を含め医療情報安全管理関連ガイドラインを適用する。

3.その他オンライン診療に関連する事項

(1) 医師教育/患者教育

オンライン診療の実施に当たっては、医学的知識のみならず、情報通信機器の使用や情報セキュリティ等に関する知識が必要となる。医師は、オンライン診療に責任を有する者として、医療関係団体などによる研修の受講等によりこうした知識の習得に努めるとともに、1の(1)及び(3)に示す事項及び情報通信機器の使用方法、医療情報のセキュリティ上安全な取扱い等について、患者に対しあらかじめ説明をしておくべきである。また、オンライン診療では、対面診療に比して、より患者が積極的に診療に協力する必要があることも、あらかじめ説明しておくべきである。患者は、オンライン診療には医師に伝達できる情報等に限界があることを理解し、うまく情報が伝わらない等により医師がオンライン診療の実施の中止を決めたときは、提供される医療の安全を確保する観点から、医師の判断が尊重されるべきである。また、医師-患者間の信頼関係を構築した上で、さらにオンライン診療の質を向上させるためには、より適切な情報の伝え方について医師-患者間で継続的に協議していくことが望ましい。なお、患者が情報通信機器の使用に慣れていない場合については、オンライン診療支援者が機器の使用の支援を行ってもよいが、医師は、当該オンライン診療支援者に対して、適切なオンライン診療が実施されるよう、機器の使用方法や情報セキュリティ上のリスク、診療開始のタイミング等について、あらかじめ説明を行っていることが望ましい。

(2) 質評価/フィードバック

オンライン診療では、質評価やフィードバックの体制の整備が必要である。質評価においては、医学的・医学経済的・社会的観点など、多角的な観点から評価を行うことが望ましい。対面診療と同様に診療録の記載は必要であるが、対面診療における診療録記載と遜色の無いよう注意を払うべきである。加えて、診断等の基礎となる情報(診察時の動画や画像等)を保管する場合は、医療情報安全管理関連ガイドライン等に準じてセキュリティを講じるべきである。

(3) エビデンスの蓄積

オンライン診療の安全性や有効性等に関する情報は、個々の医療機関で保有されるだけでなく、今後のオンライン診療の進展に向け社会全体で共有・分析されていくことが望ましい。そのためにも、医師は、カルテ等における記録において、日時や診療内容などについて可能な限り具体的な記載をするよう心掛けるとともに、オンライン診療である旨が容易に判別できるよう努めることが望まれる。

(参考)オンライン診療における情報セキュリティ対策の例

1)医療情報システムとの接続を行わないケース

脅威として想定される、盗聴・情報漏えい、システム等への不正アクセス・妨害、データの改変・消失等の脅威を未然に防ぐためには、オンライン診療全体を通じたリスク分析を行い、最低限、以下のⅰ)~ⅳ)に示す技術的対策を実施する必要がある。また、物理的対策として、システムや端末の盗難防止や覗き見の防止等を図るとともに、これらの対策を実効的なものとするため、組織的対策として、システムの管理者の設定や運用管理規則の策定・適用等の取組を行い、人的対策として、医師向けの研修等を実施することが必要である。なお、オンライン診療システム提供者が電気通信事業者とならない場合においても、個人情報保護及び通信の秘密保護に最大限配慮すること。(後述の2)においても同様)

ⅰ)患者側端末

オンライン診療システム提供者は、

・オンライン診療システムへの不正アクセスを防止するため、患者側端末において適切な本人確認(認証)を実施すること(例えば、JPKI を活用した認証や端末へのクライアント証明書の導入、ID/パスワードの設定等)

・情報漏えいのリスクを軽減する観点から、端末内にデータを残さないことをオンライン診療システムの機能として実装すること。また、

・端末へのウィルス対策ソフトの導入、OS・ソフトウェアのアップデートの実施を促す機能を併せて提供することが望ましい。

ⅱ)オンライン診療システム

オンライン診療システム提供者は、その運用に当たり、

・医療情報システム以外のシステム(端末・サーバー等)における診療にかかる患者個人に関するデータの蓄積・残存の禁止

・システムの運用保守を行う医療機関の職員や事業者、クラウドサービス事業者におけるアクセス権限の管理(ID/パスワードや生体認証、IC カード等により複数要素の認証を実施することが望ましい。)

・不正アクセス防止措置(IDS/IPS を設置することが望ましい。)

・アクセスログの保全措置(ログ監視を実施することが望ましい。)

・ウィルス対策や OS・ソフトウェアのアップデートを実施すること。

ただし、アクセスログの保存措置について、システム等の機能として実装していない場合には、システム操作に係る業務日誌等を作成し、操作の記録(操作日時、操作者、操作内容等)を管理する方法によることも考えられる。また、1)においては、医療機関内の他の医療情報を保存しているシステムへの侵入ができないようにネットワークを構成するものとする。また、医師側がオンライン診療システムにデータを保存する場合は、医療情報システムとして、2)に掲げる対策を講じるものとする。

ⅲ)医師側の端末

不正な利用者によるオンライン診療システムへのアクセスを防止するため、オンライン診療システム提供者は、

・不正な利用者によるオンライン診療システムへのアクセスを防止するため、医師側の端末における適切な本人確認(認証)を実施すること(例えば、ID/パスワードの設定、HPKI を活用した認証や端末へのクライアント証明書の導入等)
・情報漏えいのリスクを軽減する観点から端末内にデータを残さないこと

をオンライン診療システムの機能として実装すること。また、

・端末へのウィルス対策ソフトの導入・OS・ソフトウェアのアップデートを適切に促す機能

を併せて提供することが望ましい。

ⅳ)ネットワーク

医師及び患者から適切なオンライン診療システムにアクセスされていることを担保するため、オンライン診療システム提供者は、信頼性の高い機関によって発行されたサーバー証明書を用いて、通信の暗号化(TLS1.2)を実施すること。特定の施設に継続的に接続する場合には、IP-VPN や IPSec+IKE による接続を行うことが望ましい。また、ネットワーク機器への不正アクセスを防止するため、管理者権限の設定や適切な認証を実施すること。なお、不特定多数の者が利用可能な公衆無線 LAN については、緊急時や他の手段がなくやむを得ない場合を除き使用しないこと。加えて、患者がデータやテキストメッセージ等をスマートフォン等の端末を通じ医師に送り、オンライン診療で活用する場合は、ウィルスの侵入および不正アクセス防止のために IDS/IPS を設置すること等により、患者から送られてきたデータに対するファイル検疫・隔離等のウィルスチェックの徹底を図り、特にウィルス感染対策や脆弱性攻撃への対策等に留意すること。また、医師側は、情報漏洩リスクを最小限にするため、データを端末に残さないよう徹底すること。一方、医師側のデータを患者側に転送し使用する場合には、患者とセキュリティリスクについて事前に合意を行い、責任の所在を明らかにした上で行うこと。

2)医療情報システムと接続するケース

医療機関がオンライン診療システムと電子カルテシステム等を接続し、医師がシステム内の医療情報を確認しながら診療を実施する場合や、患者側に検査結果等を表示しながら診療を行う場合は、医療情報安全管理関連ガイドラインに沿った対策を行うこと。こうしたケースでは、例えば、

・医療情報を保存するシステムへの不正侵入防止対策等を講ずること

・医師個人所有端末の業務利用(BYOD)については、原則禁止とされていること

・法的保存義務のある医療情報を保存するサーバーを国内法が及ぶ場所に設置すること

等が留意点としてあげられる。なお、オンライン診療における患者側の端末については、医療情報安全管理関連ガイドラインにおいて取扱いが明確となっていないが、患者側の端末を通じた医療情報システムへの不正アクセス等を防止する観点から、オンライン診療システムの機能として、患者側端末を医療情報システムと明確に分離することを原則とする。この場合の患者個人所有端末の使用に当たっては、1)と同様の対策を講ずることが必要である。


【院長挨拶】

医療法人社団お茶会お茶の水循環器内科院長の五十嵐健祐と申します。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町でスタートしました。2016年春、神田神保町にお引越し、2018年春、医療法人化に伴い、循環器専門の医療機関として生まれ変わりました。我々の使命は「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」です。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、防ぐためには血管を守ることが重要です。我々の理念は「血管を守る」です。具体的に血管を守るためには、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続が大切です。一方で、多くの医療機関の外来が空いている平日日中は、現代人の生活で仕事や用事があることは普通のことであり、仕事をしながらの治療継続には大きな負担が伴います。我々はそこのミスマッチを解決するために、夜間も土日も診療をオープンにし、心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続を行っています。しかしながら残念なことに、土日も夜間も診療をしていると、お茶会の理念とは無関係に、ただ夜も空いているから、ただ土日もやっているから、ただ便利だからという理由だけで患者さんが殺到し過ぎてしまい、2018年冬、一時期は診療体制の維持が困難な事態に陥ってしまいました。

医療法人社団お茶会ミッション→https://ochanomizunaika.com/mission

「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、ゼロベースで全ての診療体制の見直しを実施しました。熟考の結果、循環器特化という選択と集中、意思決定を行い、2018年春に医療法人化に伴い、「お茶の水循環器内科」として再スタートを切りました。「血管を守る」を理念に、今後とも夜間も土日も診療をオープンにし、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続を実現していくことで、心筋梗塞と脳卒中を防ぎ、「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」、これが我々の使命です。詳しくは上記ページに医療法人社団お茶会のミッションをまとめましたのでご覧ください。新しく生まれ変わったお茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。

医療法人社団お茶会理事長五十嵐健祐

【具体的な診療範囲】

当院は循環器専門の医療機関です。循環器とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患、抗血小板療法、抗凝固療法、心房細動を始めとする不整脈、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、慢性心不全などの循環器疾患です。循環器の診療範囲を具体的にまとめました。

・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、他)

・心筋梗塞後、ステント留置後の管理、抗血小板療法

・慢性心不全の管理

・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)

・人工弁置換術後の管理、抗凝固療法

・心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症、他)

・不整脈(上室期外収縮、心室期外収縮、房室ブロック、心房細動、他)

・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防

・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理、二次予防、再発予防

・高血圧症、二次性高血圧症

・脂質異常症、家族性高コレステロール血症

・糖尿病、糖尿病合併症の管理

・慢性腎臓病

・睡眠時無呼吸症候群

・その他、健診の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など

以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器です。脳梗塞や脳出血等の脳血管障害、脳卒中は脳神経内科や脳神経外科が診ることも多いですが、どちらも血管の故障の予防という意味では一次予防、二次予防としてやるべきことは循環器と共通です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等の生活習慣病も循環器病のリスク因子という点で循環器の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器の仕事です。

【当院で対応していないもの】(2018/4/1更新)

当院で対応していないものを具体的にまとめました。定期的に見直しを行っていますので、ご来院の前には必ずご確認ください。ご来院いただいても受付にて適切な診療科のご紹介の対応となることを予めご了承ください。下記に具体的にまとめましたので、診療科探しの際にご参考ください。

・発熱、インフルエンザ等→一般内科

・喉痛み、鼻づまり等→耳鼻咽喉科

・咳、痰等→呼吸器内科

・吐気、下痢、腹痛等→消化器内科

・花粉症、アレルギー等→アレルギー科

・不眠、不安等→心療内科等

・循環器とは無関係な健康相談等→総合診療科等

東京都の医療機関探しは、東京都医療機関案内ひまわり(☎ 03-5272-0303)をご活用ください。幸い、首都圏には夜間や土日も診療しているクリニックは当院以外にも最近少しづつ増えて来ています。随時紹介状の発行も行っていますのでお気軽にご相談ください。ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。

【お茶の水循環器内科禁煙宣言2018】

喫煙は循環器疾患の明らかな危険因子です。煙草に対する当院の診療指針をまとめました。

1、当院は全ての喫煙者に対して禁煙を全ての治療に優先します。

煙草は1本から有害です。当院の診療指針として、具体的には、喫煙者で血圧高値の場合はまずは禁煙を優先とし、禁煙後もなお血圧高値を認める場合に限り、高血圧症に対する治療を考慮という診療指針とします。なぜなら、有害物質を摂取している場合、国民医療費を使った降圧薬等による薬物治療よりも先に有害物質の摂取の見直しが優先であると当院は考えるからです。

2、ニコチン依存状態の方には全例禁煙外来を紹介します。

近年普及傾向の加熱式タバコ、電子タバコ等にも大量のニコチンが含まれており、ニコチン依存状態であることに何の変わりはありません。いずれも、ニコチンからの根本的な離脱がゴールです。

3、それでも禁煙しない喫煙者は最終喫煙後8時間以上空けて受診ください。

喫煙者の呼気からは最終喫煙後8時間に渡って一酸化炭素等の有害物質が検出されることがわかっています。当院では呼気煙も含む受動喫煙防止の観点から、どうしても禁煙をしない場合でも最終喫煙後8時間以上空けてご来院ください。喫煙者は呼気煙を通して最終喫煙後8時間に渡って周囲の方へ健康被害を与える危険性があり、喫煙者が当院通院中の非喫煙者に対して健康被害を与えることがあってはならないと当院は考えるからです。

4、当院のスタッフは全て非喫煙者です。医療従事者として当然のことですが、当院はニコチン依存状態の人を採用しません。医療従事者だけではなく、日本から喫煙者がいなくなり、喫煙及び受動喫煙の健康被害に苦しむ人がゼロになることを心から願っています。

当院の診療指針にご理解いただけない場合は他の医療機関をご紹介しています。遠慮なく主治医または受付までお申し出ください。

PAGETOP