2020/4/23(木)、進行腎臓病における冠動脈疾患の管理についての研究「Management of Coronary Disease in Patients with Advanced Kidney Disease: ISCHEMIA-CKD Research」の結果をまとめました。安定冠動脈疾患に対する血行再建の臨床研究において、通常は進行慢性腎臓病(advanced chronic kidney disease)は除外されています。進行腎臓病、負荷試験において中程度から重度の虚血を認めた777例を対象に、薬物療法に加えて冠動脈血管造影、適応があれば血行再建を行う侵襲的戦略と、薬物療法単独で、薬物療法のみで不安定な場合に血管造影を行う保存的戦略とに分けました。一次転帰は死亡、非致死的心筋梗塞の複合としました。二次転帰は死亡、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症による入院、心不全、心停止からの蘇生の複合としました。平均2.2年間の追跡の結果、一次転帰は侵襲的戦略群123例、保存的戦略群129例に発生、有意差(推定3年事象発生率 36.4% vs 36.7% 調整後HR 1.01 95%CI 0.79 to 1.29; P=0.95)を認めませんでした。二次転帰における結果も同様(38.5% vs 39.7%; HR 1.01; 95% CI, 0.79 to 1.29)でした。侵襲的戦略は保存的戦略と比べて高い脳卒中の発生率(HR 3.76; 95%CI, 1.52 to 9.32; P=0.004)を認め、死亡、透析導入を有意に多く(HR 1.48; 95%CI, 1.04 to 2.11; P=0.03)認めました。安定冠動脈疾患で、進行慢性腎臓病で、中程度から重度の虚血例において、侵襲的戦略が保存的戦略と比べて、死亡、非致死的心筋梗塞のリスクを減らすというエビデンスを見付けることが出来ませんでした。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1915925
「ISCHEMIA」試験と同様、腎機能低下例を対象にした「ISCHEMIA-CKD」の研究結果です。「ISCHEMIA」試験と同様、早期侵襲的戦略の優越性を示すことが出来ませんでした。むしろ、脳卒中、死亡、透析導入が有意に増加してしまうとのことで、保存的戦略のほうが優れているという報告です。「ISCHEMIA」試験全体の結果は以下のまとめをご覧ください。
「2020/4/9(木)、安定冠動脈疾患に対する侵襲的治療と保存的治療を比較した研究「Initial Invasive or Conservative Strategy for Stable Coronary Disease: ISCHEMIA Research」の結果をまとめました。」
https://ochanomizunaika.com/15162
「2020/4/9(木)、冠動脈疾患における侵襲的治療と保存的治療の健康状態転帰を比較した研究「Health-Status Outcomes with Invasive or Conservative Care in Coronary Disease: ISCHEMIA Research」の結果をまとめました。」
https://ochanomizunaika.com/15170
2020/4/23(木)、進行腎臓病における冠動脈疾患の管理についての研究「Management of Coronary Disease in Patients with Advanced Kidney Disease: ISCHEMIA-CKD Research」の結果をまとめました。