2020/3/16(月)、冠動脈CT血管造影による低濃度非石灰化プラークと心筋梗塞の関係について調べた研究「Low-Attenuation Noncalcified Plaque on Coronary Computed Tomography Angiography Predicts Myocardial Infarction Results From the Multicenter SCOT-HEART Trial: Scottish Computed Tomography of the HEART」の結果をまとめました。

2020/3/16(月)、冠動脈CT血管造影による低吸収非石灰化プラークと心筋梗塞の関係について調べた研究「Low-Attenuation Noncalcified Plaque on Coronary Computed Tomography Angiography Predicts Myocardial Infarction Results From the Multicenter SCOT-HEART Trial: Scottish Computed Tomography of the HEART」の結果をまとめました。将来の心筋梗塞リスクは、心血管リスクスコア、冠動脈カルシウムスコア、冠動脈狭窄重症度などが使われます。冠動脈CT血管造影(coronary CT angiography: CCTA)における非石灰化低吸収プラークの将来の心筋梗塞リスクの予測について調べるために、安定した胸部痛に対して冠動脈CT血管造影を行った1769例を対象に、将来の致死的または非致死的心筋梗塞の関係を調べました。男性56%、平均年齢58±10歳、中央値4.7年間追跡しました。低吸収プラークは心血管リスクと弱い関連(r=0.34; P<0.001)、冠動脈カルシウムスコアは強い関連(r=0.62; P<0.001)、冠動脈狭窄重症度はとても強い関係(r=0.83 P<0.001)を認めました。低吸収プラーク(7.5% 95%CI 4.8–9.2 vs 4.1% 95%CI 0–6.8 P<0.001)、冠動脈カルシウムスコア(336 95%CI 62–1064 vs 19 95%CI 0–217 P<0.001)、閉塞性冠動脈疾患(54% vs 25% P<0.001)は致死的または非致死的心筋梗塞を起こした41例において高値でした。低吸収プラークは、心血管リスクスコア、冠動脈カルシウムスコア、冠動脈領域狭窄とは関係なく、心筋梗塞の強い予測因子(調整後HR 1.60 95%CI 1.10–2.34 P=0.014)でした。低吸収プラーク4%以上の場合は、その後の心筋梗塞リスクが5倍近くに上昇(HR 4.65 95%CI 2.06–10.5 P<0.001)を認めました。冠動脈CT血管造影における低吸収プラークの所見は致死的または非致死的心筋梗塞の強い予測因子であることが明らかになりました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.119.044720
冠動脈CT検査の有用性について報告した「SCOT-HEART」試験から、冠動脈CTにおける低吸収プラーク(Low-Attenuation Plaque)が将来の心筋梗塞の発症の強い予測因子であることが明らかになったという報告です。確かに石灰化プラークも冠危険因子ではありますが、非石灰化プラークも心筋梗塞が多い印象がありました。プラーク破裂(plaque rupture)を起こしやすいプラーク所見を反映しているのかも知れません。


PAGETOP